
翻訳者になるためには、外国語力だけではなれません。日本語力やリサーチ力も必要になってきます。また、専門分野の知識も欠かせません。これから、翻訳者を目指す方へ、ご参考になれればさいわいです。
まずは、語学力です。実務翻訳で一番重要なことは、原文の意味を正しく端的に伝えることです。そのためには、和訳であれば英文を読み解くための、英訳ならば英文を書くための、確かな語学力が必要になります。
実務翻訳には、その分野の専門知識が必要不可欠です。たとえば、administrationという英単語があります。すぐに「政治」「執行部」「行政」など、単語の意味を挙げられる方も多くいると思います。しかし、医薬翻訳の場合は「投与」と訳します。それ以外の訳は、医薬の世界では間違いなのです。医薬の専門知識がなければ、即座にそう訳すことはできません。しかし、どんなに専門知識を持っていても、翻訳をしていると、知らないことは必ず出てきます。そこで必要になってくるのが調査力です。従来の辞書をによる調べ物のほか、現在ではインターネットを使った検索で瞬時に情報が手に入るようになりました。調べ方次第では、早く、的確に目的の情報を手に入れることができるようになり、知識の不足をカバーすることができるようになりました。実務翻訳において調査能力を高めることは、ますます重要になってきています。
翻訳者を目指す人は、バックグラウンドやキャリアによって、それぞれ得意な技能と苦手な技能があります。たとえば、英文科出身の人は語学力が高い反面、専門知識が不足しがちです。一方、技術畑を歩いてきた人は、専門知識が十分な反面、語学力が不足しているかもしれません。また、海外生活が長い人は、語学力が高い分、翻訳力を伸ばしていき、場合によっては国語力を補う必要があるかもしれません。現時点での自分の実力を把握し、足りないところを重点的に伸ばしていく必要があります。